着物の素材

着物の素材

着物の素材には「織り」と「染め」の2種類があります。「染め」とは白生地に後から色や文様をつけたものをいい、「織り」は糸を先に染めてから織り上げたものをいいます。
染めの着物は、織りの着物より格が高いとされ、礼装やおしゃれ着として着用されます。
織りの着物は、染めの着物よりカジュアルな場で着用されることが多く、仕事着や普段着になります。

縮緬(ちりめん)について

縮緬は、絹織物の中でも高級とされています。18本から27本くらいの蚕の糸をよりをかけながら一本の糸にし、緯糸に織り込んだものです。代表的な産地は丹後(京都)、長浜(滋賀)で、着尺地・羽尺地・帯地など幅広く使われています。寸法によって並幅、中幅、広幅があります。
代表的なものとして、右より一本、左より一本と交互の織られた「一越(ひとこし)」があります。他にも紋意匠縮緬、綸子縮緬、古代縮緬、絽縮緬など多くの種類があります。強くよられた糸が元に戻ろうとして縮みが生じますが、これを「縮緬シボ」と呼び、これによって色の深みが増します。

紬(つむぎ)について

紬(つむぎ)について

紬は、絹織物の一種です。真綿を手紡ぎし、紬糸を経緯糸に使って手織り機で入念に仕上げたもので、縞やかすりが多いのが特徴です。
かつての紬の多くは、養蚕農家が商品化できない繭糸を使って織っていたことから、普段着とされてきました。しかし最近では、その伝統技術が高く評価されるように。後染めの紬や訪問着形態の先染め紬も生産されるようになって、紬は普段着からおしゃれ着、さらには社交着まで広がりのある着物になりました。独特な素朴感が魅力です。
全国各地で生産される紬は、普通、産地の名を付けて呼ばれます。
沖縄の「大島紬」「久米島紬」、茨城県の「結城紬」などが広く知られています。

大島紬について

大島紬について

伝統的な泥染めを施した後、手織りしたものが大島紬です。白大島・藍大島・草木染大島・泥大島など種類が豊富で、中でも茶色がかった黒大島が代表的。大島紬は見た目に渋みがあり、また軽くて暖かく着崩れしにくく、着込む程肌になじむ着心地のよさなどのたくさんの特長があります。
本場である奄美大島で仕上げたものに関しては、特別印が貼られています。

久米島紬について

久米島紬は蚕から取った真綿で紡いだ糸を原料糸として、天然の草木、泥染めによって染色し、丹念に手織で織り上げていきます。
久米島の自然の恵みを最大限に生かし、島に自生するグールやティカチなどの植物染料でまず下染めし、さらに鉄分を含む泥で何日も重ねて染め上げていくと、独特な赤みがかった黒褐色で深みのある久独特の色合いになります。
久米島紬は、1977年に沖縄県指定無形文化財に指定され、その技術の保存伝承や技術者養成に力が注がれるようになりました。

牛首紬について

牛首紬は、繭を煮立てて手加工で紡いだ「座繰り糸」を使用して織られます。白山麓の石川県白峰村牛首で生産されています。
並はずれて丈夫で、釘をも抜いてしまうほどといわれることから「釘抜き紬」という呼称もあるほど。さらっとした風合いで上品さも兼ね備えています。
現在、牛首紬は通産大臣指定伝統的工芸品、石川県指定無形文化財に指定されています。

久留米絣について

久留米絣は、江戸時代の後期に井上伝(1788~1869年)により考え出され、明治以降は、庶民の普段着として多く着用されました。
久留米絣の魅力は、人の手と200年という時間に磨き上げられた優れた技術。代表的な柄に、亀甲紋や花などの複雑なものがあり人気です。
久留米絣は、1957年に国の重要無形文化財に指定されました。また、伝統的工芸品の指定も受けています。